空想電子画素 ┼ fantastic electro pixel

へけもこのコミPo! 作品置き場

ふるさと

》星惑う寒天に乳首とがらせて

 

バカマンガ。

 

実際のところ山でうさぎを追いかけたことがある人はあまりいないはず。

なのに「う~さ~ぎ~お~いし~」という歌を聞くと誰もが反射的に懐かしさで胸がいっぱいになる。

郷愁ってある意味捏造された感情なのかもしれない。

 

とはいえ別に皮肉が言いたくてこのマンガを作ったわけじゃない。

体験してないことですら懐かしいと感じさせるこの郷愁の不思議を描いてみたかった。

 

ショパンポーランド生まれの音楽家だけど活躍したのはパリで、お墓もパリにある。

けれども心臓だけは遺言でワルシャワに埋葬されているそうだ。

つまりフランスで暮らしている間も、彼の心は常に祖国ポーランドにあったということだ。

 

どこかに置き忘れた体の一部。

ふるさとは誰にとってもそういう存在なのだろう。

いつもと違う夏

 》蝉しぐれ初めて飲んだ缶ビール

 

いつ振り返っても初恋がまぶしいのは
それがついに実らなかったからじゃないかな。

 

好きな人ができても子供のころは告白なんてうまくいかない方が多いし
そもそも思いを告げることなくあきらめる人が圧倒的だろう。

 

たとえ幸運にも告白が成功したとしてどうにもならない。
少年少女の恋が真剣な関係に至ることはまれで、いつか冷めて終わってしまう。
それは味気ない失望の経験だ。

 

けれども実らなかった恋は永遠にみずみずしい。
「あの時告白していたら」というファンタジーで思い出が輝き続けるから。

 

初恋の高揚は、ついに訪れなかった告白の日にこそあるのかもしれない。

ユニコーンを見た日

ユニコーンを見た日電脳マヴォ へけもこ空想電子画素)

》 幻の一角獣を見た日曜

 

いい大人が食べ物を粗末にするお話。季刊コミュポ14号初出。

 

内容は、別れた相手にもう一度恋をする瞬間を描いた純情ラブストーリー。

けれどもラブの力で万事解決とはいかないのが大人の複雑なところ。

 

 (以下ネタバレ含む)

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希望の本

》絶望を乗り越える花をくれた人

 

チェーホフ風の小品を目指した短編。季刊コミュポ13号初出。

 

絶望を乗り越える力はどこからやってくるのか。

人生は僕たちに苦悩を与えるたびに、それに打ち勝つささやかなヒントも一緒に与えてくれる。

 

自分を救えるのは自分だけだということ。

けれども自分だけを救おうとしてもうまくいかないこと。

  

人生がくれたヒントを正しく受け止めた者にだけ奇蹟が訪れる。

 

(以下、ネタバレを含む)

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フラワリー・アイズ!(第1話)

表情を加工するアイテムがメーカーから公開されたので瞳のパターンをいくつか試作したよ。

このマンガはその試用作品。

初心に帰ってドタバタギャグマンガを作ってみた。

 

「第1話」とあるけどオチもついてるし、とりあえずここまで。

一応、設定やあらすじは最後までできているので、続きはまあそのうち。

》もう一度やり直しても君を選ぶ

時系列が複雑な作品。初出は季刊コミュポ13号。

 

フィルムの逆再生のように全てが巻き戻る形式のストーリーを考えていたんだけど、なにやら実験作品のようになるので諦めた。

 

代わりに小道具を使って段階的に過去に戻る形にしたよ。

創作時のノートを見ると「巡り合わせの不思議」がテーマとなってるけど、今読み返すと偶然と必然の対比の方が強く感じられて興味深い。

 

ところでこの手のモノは現実の因果律に反するので、どうしても話に矛盾が出てくる。

この話も冷静に読みなおすと作者でも「あれ?」というところがなくもない。

 

でもあれじゃんホラ、ドラえもんでも、のび太ジャイ子と結婚しなければ孫のセワシは生まれなかったはずだよね?なのにセワシは過去に戻ってのび太をしずかちゃんと結婚させようとしてたよね?おかしいよね?でもおれら特に気にせず読んでたじゃん!

 

だからこの作品もちょっとおかしいな・・・と思っても許してニャン(語尾をかわいくしたのでもうだいじょうぶ)