空想電子画素 ┼ fantastic electro pixel

へけもこのコミPo! 作品置き場

いつもと違う夏

 》蝉しぐれ初めて飲んだ缶ビール

 

いつ振り返っても初恋がまぶしいのは
それがついに実らなかったからじゃないかな。

 

好きな人ができても子供のころは告白なんてうまくいかない方が多いし
そもそも思いを告げることなくあきらめる人が圧倒的だろう。

 

たとえ幸運にも告白が成功したとしてどうにもならない。
少年少女の恋が真剣な関係に至ることはまれで、いつか冷めて終わってしまう。
それは味気ない失望の経験だ。

 

けれども実らなかった恋は永遠にみずみずしい。
「あの時告白していたら」というファンタジーで思い出が輝き続けるから。

 

初恋の高揚は、ついに訪れなかった告白の日にこそあるのかもしれない。