メッセージをどうぞ
》ピーッという発信音を待たず切る
話をしたくて電話をしているのに、留守電だと慌てて切ってしまう
30秒以内に自分の思いをまとめなきゃっていうプレッシャーに耐えられない
こうして言い残したことばが増えていく
言いたくて言えなかったメッセージを抱えたまま、青春も歴史も終わっていく
ヴォネガットの「タイタンの妖女」では、人類の文明全体がたった一言の「ハロー」を伝えるためだけに生まれ、そして滅んでしまう
これは笑い話じゃなくて、人間は誰かに「ハロー」というために生まれたのだということをヴォネガットはこの小説で訴えている。
つまり人生の成功はメッセージの伝達が成功するかにかかっているのだ
だから誰かに呼びかけて返事がもらえたら死んでもいい
孤独が終わるからじゃない
自分だけが孤独なわけじゃないことが確かめられるからだ